映画『ショーシャンクの空に』で見かけた英語

2020年6月4日

スティーブン・キング原作の『ショーシャンクの空に』という映画が私は10代の頃から好きでしてね。

アンディが好きな聖書の一節

Watch therefore, for ye know now when the master of the house cometh.

Mark 13:35

起きてなさい いつ 主が戻るか分からない

マルコ伝13章35節

ye

汝ら;なんじら

IPA: /jíː/。日本語だと「イェイ」に近い。

cometh

comesの古い言い方。

発音記号の読み方、疑問点については下記リンクでまとめています。

所長が好きな聖書の一節

I am the light of the world; he that followeth me shall not walk in darkness, but shall have the light of life.

John 8:12

私は世の光 私に従うものは命の光を得る

ヨハネ伝8章12節

[;:.,]などの記号の使い方については下記リンク参照。

アンディはヨハネ伝8章12節のことを[John: eight chapter verse twelve]と言っています。また、省略した言い方として「マルコ伝」も[Gospel of Mark]等ではなく、単純に[Mark 13:35]と作中では言っています。

※ここ英語と関係ない話やけど

アンディと所長のこのやりとりをどう感じますか?

1つ目は、2人が聖書を介して会話したという見方。アンディが「この刑務所の主はあなたで、私はそれに従う」と言ったのに対して「そう、この刑務所の神は私」とアンディの従順な態度に知的に受け答えたと取る見方。ただ、作中でアンディは看守らの機嫌を取る気は無いとも言っています。

2つ目は、作中における2人の立ち位置を表しているという見方。ショーシャンク刑務所を1つの世界に見立て、所長の「自分がこの刑務所の神で、私に従うものにはいい目をさせてやる」という作中のスタンスをこの一節に込めたという見方。
だとしたら、アンディの好きな一節もまた、作中での彼の立ち位置や処遇を表している?例えば「起きてなさい」というのは、将来アンディが所長へ起こす反逆に対するアンディからの警告。(ちょっとメタいけど)

こういう考察も楽しい。

事務室の額縁の言葉

所長の事務室に掲げられていた額縁に入った妻の刺繍による言葉。額縁の裏側には所長の隠し金庫があります。

His Judgement cometh and that right soon….
The Shawshank Redemption

主の裁きは下る いずれ間もなく

ショーシャンクの空に

ただし、これと同訳の英文は聖書にはありません。これに近い言葉は、カトリックの外典のエクレシアスティクス21章5節。(本書は『集会の書』とよばれ、旧約聖書外典または第2正典ともされる)

A prayer of a poor man’s mouth reacheth to the ear of God, and his judgment cometh speedily.

Ecclesiastics 21:5

意味の似た言葉は聖書にはあります。ただし、[his judgement cometh]が使われていません。

Behold, I am coming soon, bringing my recompense with me, to repay each one for what he has done.

Revelation to John 22:12

見よ、わたしはすぐに来る。報いを携えてきて、それぞれのしわざに応じて報いよう。

ヨハネ黙示録22章12節

judgmentとjudgementの違い

「判定、裁き」という意味のジャッジメントには2つのスペルがあります。どう違う?どっちが正しい?

結論から言うと、どっちも正しいとされていて市民権を得ています。

  • judgment(アメリカで圧倒的に使われている)
  • judgement(本来のイギリス英語)

詳細はこちら。

ブルックスが死ぬ間際に刻んだ言葉、レッドが書き加えた言葉

Brooks was here
So was Red
The Shawshank Redemption

ブルックスここにありき
レッドもここにありき

ショーシャンクの空に

[So was Red]は、[Red was here too]を倒置した文です。

ということは、否定文だとこうなりますよね。

Brooks wasn’t here, neither was Red.

ブルックスはここにいなかったし、レッドもまたここにいなかった。

でも、じゃあSoとNeitherは必ず対を成していて、肯定文の同意ではSo, 否定文の同意ではNeitherと使い分けなければいけないかというとそんなこともなくて、Soも使えるらしい。それがこれ↓